飼育箱と女と青虫
飼育箱で生まれた綺麗な女が
とびきり憧れたのは
汚れた葉っぱに群がる小さな青虫だったらしい

幸せを感じるベクトルは
いつだって他人じゃ測れない
隣の芝生は青すぎて
砂漠の蜃気楼みたいなもんさ

望んでいる明日を誰かに映してるだけじゃ
羽は生えなくて
声はただ原っぱに響いた ただ空っぽに響いた

飼育箱で生まれた綺麗な女は
あれも違う これも違う そう言って
他人の真似ばかりしていたら人形みたいになっていた

幸せを比べる天秤なんて
そんなものあるわけないでしょう
自分の居場所や大事なもんは
自分で見つけてなんぼのもんだ

望んでいる未来を誰かに託してるだけじゃ
羽は生えなくて
声はただ空っぽに響いた 振り向かれることもないまま

となりで小さい青虫は
さなぎになって 背中が割れて
眩しいくらいに 空高く
羽ばたいて 飛んでいったんだ